ハイラックスというピックアップトラックは見た目がかっこよく、多目的に使える便利な車として人気がありますが、実は維持費が思いのほかかかることをご存知でしょうか。
この記事では、ハイラックスを持つことの経済的な負担について、わかりやすくお伝えします。
ハイラックスもいいなぁ。2.2ディーゼルターボだから、8か3ナンバーに登録変更すれば意外と有りだなぁって維持費計算してて思った。
流石に貨物は任意保険が高くて増車だと維持できない pic.twitter.com/BOEC8pmzWW
— K♶N♳T♹ (@K_N_T_Auto) January 1, 2020
#乗ってる車名と長所と短所書いてけ
ハイラックスGRスポーツ
長所
・案外乗り心地がいい
・軽トラのマネ事ができる
・思った程維持費はかからない
・日本では珍しいピックアップトラック
短所
・1ナンバー
・手洗い洗車
・意外と使い道に困る荷台
・軽トラのマネ事はできても軽トラ程の利便性は無い pic.twitter.com/29YlGAkLPJ— ダル@紅月の歌姫 (@DALL139331) September 12, 2023
ハイラックスの年間維持費の全体像
ハイラックスを1年間維持するためには、おおよそ30万円から43万円ほどの費用がかかります。これは決して小さな金額ではありません。家計の中で、毎月2万5千円から3万6千円ほどを車の維持だけに使うことになるのです。
維持費の内訳を見てみよう
1. 自動車税
ハイラックスは貨物車として登録されることが多いため、自動車税は一般的な乗用車よりも安く、約16,000円です。これは一見お得に思えますが、全体の維持費から見ればごく一部に過ぎません。
2. 車検費用
ここがハイラックスを持つ上での大きな負担の一つです。ハイラックスは毎年車検が必要で、その費用は約105,000円。一般的な乗用車が2年に一度の車検であることを考えると、年間平均では倍以上の負担になることもあります。
車検費用の内訳:
- 法定費用(自賠責保険料、重量税など)
- 基本整備費用(オイル交換、フィルター交換など)
- 部品交換費用(必要に応じて)
3. ガソリン代
ハイラックスの燃費は、モデルによって異なりますが、一般的には11.7 km/Lから13.6 km/L程度です。これは現代の乗用車と比べるとあまり良いとは言えません。
例えば、年間8,000 kmを走行する場合:
- 燃費を12 km/Lとすると約667リットルのガソリンが必要
- ガソリン1リットル当たり約170円とすると
- 年間のガソリン代は約91,000円
4. 任意保険料
ハイラックスはピックアップトラックであるため、一般的な乗用車よりも任意保険料が高くなる傾向があります。年齢や運転歴によっても異なりますが、年間10万円前後かかることも珍しくありません。
5. 日常のメンテナンス費用
タイヤ交換、オイル交換、各種フィルター交換など、日常的なメンテナンスにも費用がかかります。これらを合わせると、年間で5万円から10万円程度の出費となることが多いです。
なぜハイラックスの維持が経済的に難しいのか
高い年間維持費と収入のバランス
一般的に、車の維持費は年収の5%以内に抑えるのが理想とされています。ハイラックスの維持費が仮に年間40万円だとすると、年収800万円以上あることが望ましいことになります。
実際には、ハイラックスのような車を余裕を持って維持するためには、年収1,000万円以上(一説には1,114万円以上)が目安とする意見もあります。これは決して低い金額ではなく、多くの人にとって現実的な範囲を超えています。
駐車場の問題
ハイラックスは一般的な乗用車よりもサイズが大きいため、駐車場の確保も課題です:
- 長さ:約5.3m(一般的な乗用車より1m以上長い)
- 幅:約1.8m
- 高さ:約1.8m
特に都市部では、このサイズの車を停められる駐車場を見つけること自体が難しく、見つかったとしても料金が高くなりがちです。都市部では月に2万円以上の駐車場費用がかかることも珍しくありません。
保険料の高さ
ハイラックスは車両価格が高いことに加え、ピックアップトラックとしての特性から保険会社からは「リスクが高い車」と見なされがちです。そのため、同じ条件でも一般的な乗用車より保険料が高くなる傾向があります。
修理費用の高さ
輸入車の部類に入るハイラックスは、部品の調達や修理に一般的な国産車よりもコストがかかることがあります。小さな故障でも修理費が高額になりやすく、これも維持費を押し上げる要因となっています。
ハイラックスの維持費を少しでも抑える方法
完全に維持費の負担をなくすことはできませんが、以下の方法で少しでも費用を抑えることは可能です。
1. 任意保険の見直し
- 複数の保険会社から見積もりを取り、比較する
- 運転者の範囲を限定して保険料を下げる
- 車両保険の免責金額を調整する
2. 定期的なメンテナンス
予防的なメンテナンスを怠らないことで、大きな故障を未然に防ぎ、結果的に修理費用を抑えることができます:
- 定期的なオイル交換(5,000kmごと)
- エアフィルターの清掃・交換
- タイヤのローテーションと空気圧チェック
3. 駐車場選びの工夫
- 自宅から少し離れていても安い駐車場を検討する
- 月極駐車場の料金を比較する
- 可能であれば自宅の敷地内に駐車スペースを確保する
4. 燃費向上の工夫
- 急発進、急加速を避ける
- タイヤの空気圧を適正に保つ
- 不要な荷物を積まない
- エアコンの使用を必要最小限にする
「維持費が高すぎる」と感じる人が多いのはなぜ?実はハイラックスは田舎の貧乏人の車
ハイラックスの維持費は他の車と比べて特に高いわけではありません。では、なぜ「維持費が高すぎる」という声が多いのでしょうか?
税金や維持費でハイラックス維持できないみたいなツイートを見たけどハイラックス維持できないなら軽自動車の維持もなかなか難しいんじゃない?
— み か ど 🌸 (@Litvyak501_MKD) March 30, 2022
実はハイラックスは、都市部の富裕層ではなく、地方や田舎に住む比較的経済的余裕が少ない層に人気がある車なのです。貧乏人のマイルドヤンキーが好む車なのです。このミスマッチが「ハイラックスの維持費が高すぎる」という声につながっています。この現象について、わかりやすく解説していきましょう。
ハイラックスが都会のセレブや資産家の間でステータスシンボルとして選ばれることはほとんどありません。彼らが好むのは、高級外車やプレミアムSUVといった車種です。メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、レクサスなど、洗練されたデザインや最新技術を搭載した車を選ぶ傾向があります。これらの車は、高級感や社会的地位を表現する手段として機能しているのです。
一方、ハイラックスが強い支持を集めているのは、地方や郊外に住む、いわゆる「マイルドヤンキー」と呼ばれる層です。この言葉は若干のステレオタイプを含みますが、地方都市や農村部で育ち、高学歴エリートコースとは異なる道を歩み、地元で暮らし働く若者たちを指す場合があります。彼らの多くは中小企業や工場、建設業などで働き、年収は都市部の会社員に比べて高くない傾向にあります。
ハイラックスがこの層に人気がある理由はいくつかあります。まず第一に、そのタフなイメージです。丈夫で頑強なボディ、高い積載能力、オフロード性能などは、自分の「強さ」や「男らしさ」を表現したい若者にとって魅力的に映ります。休日にはアウトドア活動や釣り、バイクやスノーボードなどのレジャーを楽しむ彼らにとって、道具や機材を積み込めるピックアップトラックは実用的でもあります。
また、ハイラックスは「普通」とは一線を画す見た目を持っています。一般的な軽自動車やコンパクトカーとは異なる存在感があり、「みんなと同じではない」という個性の表現になります。農村部や漁村では実際に仕事でも使える実用性を持ちながら、街中では注目を集めることができるのです。
しかし、ここで経済的なミスマッチが生じます。ハイラックスの新車価格は350万円から450万円程度で、これは決して安い買い物ではありません。そして前述のとおり、年間の維持費も30万円から43万円程度とかなりの負担になります。これは年収400万円から600万円程度の層にとっては、非常に大きな出費となります。
ハイラックスを欲しがる層の多くは、その見た目やイメージに強く惹かれますが、実際の経済力とのギャップがあります。彼らは「かっこいい車」「目立つ車」「仲間内でリスペクトされる車」としてハイラックスを求めますが、購入後の維持費の現実に直面して苦労することになるのです。
この状況は日本特有の「見栄」や「見せかけの豊かさ」とも関連しています。実際の経済力以上のものを所有することで社会的地位や自己肯定感を得ようとする心理が働いている場合もあります。特に地方では、収入や学歴よりも「何に乗っているか」「何を持っているか」で評価される文化が残っていることも影響しているでしょう。
ハイラックスオーナーの典型的なライフスタイルを想像してみましょう。地方の工業団地や建設現場で働き、週末は仲間と釣りやキャンプに出かけます。車に対する愛着は強く、こだわりのカスタムパーツを少しずつ取り付けていきます。しかし、月々のローン返済、高いガソリン代、年1回の高額な車検費用などに苦しんでいる場合も少なくありません。
彼らの多くは、ハイラックスを購入する際に、維持費の高さを十分に計算せず、見た目やブランドイメージに惹かれて決断してしまうことがあります。そして購入後に「思ったより維持費がかかる」「燃費が悪すぎる」「駐車場代がかさむ」といった不満を持つようになるのです。
これは決して彼らの判断を批判するものではありません。むしろ、自動車メーカーやディーラーの販売戦略が、こうした「憧れ」を上手に利用していることを示しています。ハイラックスのようなピックアップトラックは、「タフで自由な男のための車」というイメージ戦略で販売されますが、実際の維持費や経済的負担についての情報は後回しにされがちです。
ハイラックスの人気が高い地方都市や農村部では、公共交通機関が発達していないため、車は必需品です。しかし、必需品としての車と「見せびらかすための車」は本来別物であるはずです。多くの場合、経済的に合理的な選択は、燃費の良い国産の軽自動車やコンパクトカーでしょう。しかし、それでは満足できない気持ちが、ハイラックスのような「非実用的な実用車」の購入につながるのです。
この現象は、消費社会における「見せかけの豊かさ」の一例と言えるかもしれません。実際の経済力と釣り合わない消費行動は、短期的な満足をもたらすかもしれませんが、長期的には家計を圧迫します。ハイラックスの維持費が「高すぎる」と感じる声の多くは、このようなミスマッチから生まれています。
もちろん、すべてのハイラックスオーナーがこのような状況にあるわけではありません。実際に仕事で使う農家や漁師、建設業の方々にとっては、ハイラックスはその価格と維持費に見合った実用性を持っています。また、十分な経済力があり、趣味として楽しんでいる方もいるでしょう。
しかし、ハイラックスが「田舎の貧乏人の車」と言われる背景には、このような社会経済的な現実があります。都市部の富裕層がハイラックスに乗らないのは、それが彼らの価値観や社会的地位を表現する車ではないからです。逆に、経済的に余裕がない層がハイラックスを欲しがるのは、それが彼らのアイデンティティや憧れを表現する車だからです。
結論として、ハイラックスの維持費が高いと感じる意見が多いのは、この車を求める層と実際の経済力のミスマッチが原因だと言えるでしょう。車は単なる移動手段ではなく、アイデンティティや価値観を表現する手段でもあります。ハイラックスというピックアップトラックは、その独特の位置づけから、日本社会における消費行動や階層意識を映し出す興味深い事例となっているのです。
車を選ぶ際には、そのイメージや見た目だけでなく、自分の経済状況に合った現実的な選択をすることが大切です。ハイラックスは確かに魅力的な車ですが、それを維持するための経済的な余裕が本当にあるかどうかを冷静に判断することが、将来の後悔を避ける鍵となるでしょう。
まとめ。維持できるか現実的な判断を!あなたにハイラックスは合っていますか?
以上の維持費を考慮すると、以下のような方はハイラックスの維持が特に難しいと言えるでしょう。
- 年収が600万円未満の方
- 都市部に住んでいて、駐車場の確保が難しい方
- 他にローンや家賃などの固定費が多い方
- 走行距離が多く、燃料費の負担が大きくなる方
逆に、以下のような条件が揃っている方であれば、比較的維持しやすいと言えます:
- 年収が1,000万円を超える方
- 自宅に広い駐車スペースがある方
- 仕事でピックアップトラックの機能が必要な方(この場合、経費として計上できる可能性も)
- 他の固定費が少なく、車にお金をかけられる方
ハイラックスは確かに魅力的な車ですが、その維持にはそれなりの経済的余裕が必要です。年間30万円から43万円という維持費は、多くの人にとって大きな負担となります。
車は移動手段としてだけでなく、ライフスタイルを表現するものでもありますが、経済的な現実を無視して無理な購入をすると、後々の生活を圧迫することになりかねません。
ハイラックスの購入を検討している方は、この記事で紹介した維持費の内訳を参考に、自分の経済状況と照らし合わせて、冷静な判断をすることをおすすめします。見た目のかっこよさや多機能性に惹かれるのは自然なことですが、長期的な視点で自分の財布と相談することが大切です。
「憧れの車」と「無理のない生活」、どちらを優先するかは最終的には個人の価値観によりますが、少なくとも維持費の現実を知った上で決断することが、後悔のない選択につながるでしょう。