中古車市場を眺めていると、一つの現象に気づくでしょう。三菱アウトランダーPHEV(プラグインハイブリッド車)の中古価格が、他の同クラスSUVと比べて驚くほど安いのです。
新車時には400万円を超えていたモデルが、わずか3年で半額以下になっているケースも珍しくありません。「これってお買い得なの?」「何か裏があるの?」そんな疑問を抱いている方も多いはずです。
アウトランダーって中古安い感じ?
てことは下取り……… pic.twitter.com/b3Ca51oyBM— ヤムチャR (@yamutyaaaa) May 25, 2025
アウトランダーPHEV中古車が意外に安い。
しかも走行距離少が多い。
早めに手放してるのか⁉️
デリカD5と反対の傾向🤔。 pic.twitter.com/jBvVdPMr84— 自由人(車旅・自転車ゆるポタ) (@jiyuujin60) September 4, 2020
実は、この価格の安さには明確な理由があります。そして、それを知らずに購入すると、思わぬ落とし穴にハマってしまう可能性があるのです。
今回は、アウトランダーPHEVの中古価格が安い理由を徹底解説し、購入を検討している方が知っておくべき注意点をお伝えします。この記事を読めば、「安いから飛びつく」のではなく、「なぜ安いのかを理解して賢く選ぶ」ことができるようになるでしょう。
アウトランダーPHEVが中古市場で苦戦している本当の理由

理由1:ブランド力の差が価格に直結している現実
まず最初に理解しておきたいのは、中古車価格は「人気」によって大きく左右されるということです。同じような性能・装備を持つ車でも、トヨタやホンダのブランドと三菱のブランドでは、中古市場での評価に明確な差があります。
これは決して三菱の技術力が劣っているという意味ではありません。実際、アウトランダーPHEVは世界初の量産プラグインハイブリッドSUVとして技術的には先駆者的存在です。しかし、一般消費者の「安心感」「信頼感」という観点で見ると、トヨタのRAV4 PHVやホンダのヴェゼルe:HEV+と比較した際に、どうしても後塵を拝してしまうのが現実です。
この傾向は販売台数にも表れています。SUV市場全体が好調な中で、アウトランダーPHEVの販売台数は他の人気SUVと比べて限定的です。新車で売れ行きが今ひとつだと、当然中古車市場でも需要は高まりません。需要が少なければ価格は下がる、これは経済の基本原則です。
理由2:減価償却の激しさが際立っている
アウトランダーPHEVの価格下落スピードは、他の車種と比較しても際立って速いのが特徴です。アメリカのデータによると、アウトランダーは5年で価値が約50%も下落するという調査結果があります。
これは何を意味するのでしょうか?新車で400万円のアウトランダーPHEVが、5年後には200万円程度の価値しか残らないということです。一方で、トヨタのRAV4なら同じ期間でも60-65%程度の価値を保持する傾向があります。
この激しい減価償却には、いくつかの要因が絡んでいます。
技術の進歩による陳腐化 PHEVの技術は日進月歩で進歩しています。新しいモデルが出るたびに、電池容量の向上、燃費性能の改善、充電時間の短縮など、様々な面で性能が向上します。そのため、数年前のモデルは相対的に「古い技術」となってしまい、価値が急激に下がってしまうのです。
初期の高価格設定の反動 PHEV車は導入当初、新技術のプレミアムが価格に上乗せされていました。また、政府の補助金制度があることを前提とした価格設定になっていたため、補助金なしでは割高感が強くなってしまいます。中古車には当然補助金は適用されないため、その分価格が下がりやすいのです。
理由3:競合車種の多さが価格競争を激化させている
SUV市場、特にPHEV・ハイブリッド市場は競争が非常に激しくなっています。アウトランダーPHEVが登場した当初は、プラグインハイブリッドSUVは珍しい存在でした。しかし、現在では、
- トヨタ RAV4 PHV
- 三菱エクリプスクロスPHEV
- レクサス NX450h+
- BMW X3 xDrive30e
- メルセデス・ベンツ GLC350e
など、多くの選択肢が存在します。選択肢が多いということは、それだけ価格競争が激しくなるということです。特に中古市場では、「同じようなPHEV SUVなら、より人気の高いブランドを選びたい」という心理が働き、アウトランダーPHEVは不利な立場に置かれがちです。
理由4:PHEVならではの不安要素が価格に影響している
プラグインハイブリッド車には、従来のガソリン車やハイブリッド車にはない特有の懸念があります。
バッテリーの劣化リスク PHEVの心臓部である駆動用バッテリーは、使用年数や充電回数とともに性能が低下していきます。特に急速充電を頻繁に使用したり、満充電・完全放電を繰り返したりすると劣化が進みやすくなります。
バッテリーの交換費用は一般的に100万円以上かかると言われており、この高額な修理リスクが中古価格を押し下げる要因となっています。
使用環境による性能のバラつき PHEVの燃費性能は、使用環境や運転スタイルによって大きく変わります。毎日短距離を電気だけで走る人にとっては非常に経済的ですが、長距離ドライブが多い人にとっては期待したほどの燃費改善が得られないことがあります。
このような「人によって評価が大きく変わる」特性も、中古市場での人気を押し下げる要因となっています。
理由5:車検のタイミングによる供給増加
日本の車検制度も、中古価格に影響を与えています。新車登録から3年目、5年目、7年目と車検を迎えるタイミングで、手放す人が増える傾向があります。
特に高額なPHEV車の場合、車検費用やバッテリーの劣化不安から、「このタイミングで手放そう」と考える人が多くなります。供給が一時的に増えると、当然価格は下がります。
アウトランダーが安い状況は中古車購入者にとってチャンス!

ここまでアウトランダーPHEVの中古価格が安い理由を説明してきましたが、これは必ずしもネガティブなことばかりではありません。むしろ、賢い購入者にとっては大きなチャンスと捉えることもできるのです。
高級車を手頃な価格で手に入れるチャンス
アウトランダーPHEVは、新車時には400万円を超える高級車です。それが中古市場では200万円台から購入できるということは、本来なら手が届かなかった高級車を手頃な価格で手に入れるチャンスということでもあります。
装備面を見ても、上級グレードには以下のような豪華装備が標準で付いています。
- 本革シート
- 電動リアゲート
- パノラマルーフ
- プレミアムオーディオシステム
- 運転支援システム
- アラウンドビューモニター
これらの装備を考えると、200万円台という価格は確かに魅力的です。
環境性能の高さは変わらない
価格が下がったからといって、車の基本性能が劣化するわけではありません。アウトランダーPHEVの優れた環境性能は、中古車になっても変わりません。
- 電気モードでの走行距離:約65km(JC08モード)
- ハイブリッド燃費:18.6km/L(JC08モード)
- CO2排出量の大幅削減
- 静粛性の高さ
特に近距離中心の使用であれば、ガソリンをほとんど使わない運転も可能です。ガソリン価格の高騰が続く中、このメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
三菱の技術力は決して低くない
ブランドイメージの問題で人気が今ひとつのアウトランダーPHEVですが、技術的には決して劣っているわけではありません。
三菱は電気自動車(i-MiEV)を世界に先駆けて実用化したメーカーであり、電動化技術に関しては豊富なノウハウを持っています。アウトランダーPHEVも、世界初の量産プラグインハイブリッドSUVとして開発された技術の結晶です。
実際に乗ってみると、その走行性能や静粛性の高さに驚く人も多いのです。
維持費の安さも魅力
PHEVは維持費の面でもメリットがあります。
燃料費の削減 電気代はガソリン代に比べて非常に安く、近距離であれば電気のみでの走行が可能です。夜間電力を使って充電すればさらにコストを抑えられます。
税制面での優遇 PHEVは環境性能に優れているため、自動車税やエコカー減税の対象となる場合があります(年式や仕様によって異なります)。
メンテナンス頻度の低下 電気モードでの走行時はエンジンを使用しないため、エンジンオイルの劣化が少なく、メンテナンス頻度を減らすことができます。
今後の価格下落リスクが限定的
既に大幅に価格が下がっているアウトランダーPHEVは、今後さらに大きく価格が下落するリスクが相対的に低いとも考えられます。特に程度の良い個体や人気の高いグレードについては、価格の底値感も出てきています。
中古アウトランダーPHEVを購入する前に知っておくべき重要な注意点

魅力的な価格で購入できるアウトランダーPHEVですが、購入前には必ずチェックしておくべき重要なポイントがあります。これらを見落とすと、後で大きな出費や不満につながる可能性があります。
バッテリー状態の詳細チェックは絶対必要
最も重要なのは、駆動用バッテリーの状態確認です。PHEVのバッテリーは消耗品であり、劣化すると電気での走行距離が大幅に短くなってしまいます。
確認すべきポイント:
- バッテリーの充電容量(新品時と比較してどの程度残っているか)
- 充電・放電の履歴
- 異常警告の履歴
- バッテリー冷却システムの動作状況
販売店に対しては、バッテリーの診断結果を書面で提供してもらうことをおすすめします。口約束ではなく、具体的な数値で状態を把握することが重要です。
バッテリーの交換費用は100万円以上かかることもあるため、購入時にしっかりと状態を確認しておかないと、後で予想外の出費が発生する可能性があります。
充電設備の対応状況を確認する
PHEVの能力を最大限活用するためには、日常的な充電が不可欠です。購入前に以下を確認しましょう。
自宅での充電環境
- 駐車場に充電用のコンセントが設置可能か
- 電気工事が必要な場合の費用
- マンション等の場合、管理組合の許可が得られるか
- 近隣の充電スタンドの場所と利用料金
職場や外出先での充電
- 勤務先に充電設備があるか
- よく行く場所の近くに充電スタンドがあるか
- 充電カードの種類と月額費用
充電環境が整わないと、PHEVの最大のメリットである「電気での走行」ができず、単なる重いハイブリッド車になってしまいます。
安全装備の世代を必ずチェック
アウトランダーPHEVは、年式によって安全装備の内容が大きく異なります。古いモデルでは最新の安全支援機能が搭載されていない場合があります。
確認すべき安全装備:
- 自動緊急ブレーキ(歩行者検知対応か)
- 車線逸脱警報・支援システム
- アダプティブクルーズコントロール
- 死角警報システム
- アラウンドビューモニター
- 駐車支援システム
特に家族での使用を考えている場合、最新の安全装備の有無は非常に重要な判断要素となります。
整備履歴と使用状況の詳細確認
PHEVは複雑なシステムを持つ車両のため、整備履歴の確認は通常の車以上に重要です。
整備履歴で確認すべき点:
- 定期点検をきちんと受けているか
- PHEVシステム特有の点検項目もカバーされているか
- 過去に大きな修理や部品交換があったか
- リコール対象の修理が適切に行われているか
使用状況で確認すべき点:
- 主な使用用途(通勤、レジャー、業務用など)
- 年間走行距離の推移
- 充電頻度と充電方法
- 長距離ドライブの頻度
修復歴・事故歴の徹底チェック
安い価格には理由があります。修復歴や事故歴がある車両は、構造的な問題や将来的な不具合のリスクが高くなります。
確認すべき点:
- 修復歴の詳細(どの部分をどのように修理したか)
- 事故の規模と修理内容
- 水害等の被害歴
- 電気系統への影響の有無
特にPHEVの場合、電気系統への影響は深刻な問題となる可能性があります。修復歴がある車両は避けるか、十分に納得できる説明を受けてから判断しましょう。
販売店の信頼性とアフターサービス
PHEVは専門的な知識が必要な車両のため、販売店選びも重要なポイントです。
信頼できる販売店の特徴:
- PHEVに関する専門知識を持つスタッフがいる
- 三菱ディーラーまたは三菱車に詳しい専門店
- バッテリー診断設備を保有している
- 充電関連のトラブルに対応できる
- 適切な保証を提供している
避けるべき販売店:
- PHEVに関する知識が乏しい
- バッテリー状態の確認ができない
- 「安いから」以外の説明ができない
- 保証内容が不明確
保険料の確認も忘れずに
PHEVは一般的なガソリン車と比較して車両価格が高いため、保険料も高くなる傾向があります。また、特殊な修理が必要になった場合の保障内容も確認しておきましょう。
購入前の試乗は必須
実際の使用感を確認するため、以下の点に注意して試乗しましょう。
チェックポイント:
- 電気モードでの走行感覚
- エンジンとモーターの切り替えの滑らかさ
- 充電ポートの使いやすさ
- 操作パネルの分かりやすさ
- 静粛性のレベル
- 乗り心地と運転のしやすさ
まとめ:賢い購入判断をするために
アウトランダーPHEVの中古価格が安い理由は、主に「人気の低さ」に起因していることが分かりました。しかし、これは必ずしも車の品質や性能の問題ではありません。
むしろ、以下の条件に当てはまる人にとっては、非常に魅力的な選択肢となる可能性があります。
- 環境性能を重視している
- 近距離中心の使用で充電環境が整っている
- 高級装備を手頃な価格で手に入れたい
- ブランドにこだわらない
- 適切なメンテナンスができる
ただし、購入前には必ず以下のポイントを確認しましょう。
- バッテリー状態の詳細診断
- 充電環境の整備可能性
- 安全装備の世代確認
- 整備履歴と使用状況の確認
- 修復歴・事故歴のチェック
- 信頼できる販売店での購入
- 十分な試乗による使用感の確認
これらのポイントをすべてクリアできるのであれば、アウトランダーPHEVの中古車は非常にコストパフォーマンスの高い選択肢となるでしょう。
「安いから」という理由だけで飛びつくのではなく、「なぜ安いのか」を理解し、自分の使用目的と合致しているかを冷静に判断することが重要です。適切な判断基準を持って選択すれば、きっと満足のいく車選びができるはずです。
最後に、購入を決断する前には、必ず複数の車両を比較検討し、信頼できる専門家に相談することをおすすめします。大きな買い物だからこそ、慎重に、そして賢く選択しましょう。

